Sorenante JoJo? PartOne "Ordinary World"

Episode:Six

第二幕 開き

こー言うところはあんまり好きじゃあないのよね、
襲われた記憶が蘇りそうで…ああ、ルナよ。

「現場に到着したぜ、アイリー、詳しい位置は判るか?」

ウインストンがアイリーに電話をかけて更に詳しい位置を聞き出してる。
ここはちょっとした広場になっていて…周りは石造りの
古い建物が囲んでる。
人が一人、ちょっときついけれど通れる建物と建物の隙間が
幾つかあって…

アイリーの検索にしたがって、その広場から一つの隙間の
入り口付近に来た。

「…ここ…らしいぜ?」

電話を終えて、現場を見る。
…ただの薄汚れた石壁と地面…

でもジョーンが石壁を探りながら

「…僅かに焦げた跡がある…ここで殺された…?
 …でもこの焦げ方は…」

「…なに? ジョーン…どんな殺害方法…?」

そればかりあたしが言うと、背後に人の気配。

「…貴方達の成長は著しい…やはりここまで嗅ぎ付けましたね…」

あたしら三人が振り返ると、そこに男が一人。
広場の向こう側…20mほど?

若干目の据わった…とはいえ、狂った目ではない…
なにか深く思いつめたような…今までの奴らとは
ちょっと違う…?

ゆっくりあたしらがそいつの方を見ながら立ち上がる。

「自己紹介を…しましょうか…私はブロムナード…
 ナットシャーマン…」

こいつの目…態度や口調は丁寧だけど、
あたしらを殺すっていう強い思いがある目だわ…
これを殺気…っていうのかしらね…
落ち着いた様子でジョーンが彼に聞いた。

「あなたの能力…なのかしら?
 これ…(携帯音楽プレイヤー)局所的に強い磁気で…
 しかもちゃんと特定の周波数で破壊されてるようだわ…」

何気にハイレベルね…
ブロムナードとか言う彼は落ち着いた様子で答えた。

「…そういった作業はたまにすることもありますので…
 余り細かな作業も得意ではありませんので完璧ではないですが…
 しかし…周波数まで判ってしまうんですか…貴女は…」

ブロムナードの背後に気配が湧き上がる、スタンドだ。
あたしたちもスタンドを出す。
…このスタンド…

「なんだよ…まるでマジ●ガーZみてーだな、おい…」

ウインストン…なにそれ…(汗
ロボットのような外見で、見た目も金属っぽい。
アニメのヒーローか何か?

「…どう…でしょうね、スタンドが形成される際…
 能力に合わせて記憶の中からチョイスされたのかもしれませんね…」

ブロムナードも知ってる?
まったく、男子ってのは…こんな時でもそんな会話してるの?

「能力…? 磁気を操るんならコ●バトラーVとかその辺じゃあないのか?」

わかんないわー!!
何なのこの男、今まで隠してたけどOTAKUなの!?

「…多少のぶれはあるかもしれませんね。
 まぁ姿は副次的なものですよ、幸いにして
 このスタンドは「操るもの」と「能力」に多少差がありまして…」

「…じゃあ、そいつの名も聞いておこうか…おっと、俺のスタンドは
 「風街ろまん」だ、BCの奴なら判ってると思うが…風使いな」

このなんていうか正々堂々振りが…あたしには少しもどかしいのだけど…

「アルベド0.39…」

ずいぶん半端な数字ね…「反射率0.39」…
そのアルベド0.39の左手が輝きを放つ。

「…うッ…!」

ジョーンが耳と目を押さえた。
…え、なに??

「な…何が起こったの!? 貴方ジョーンに何を…!?」

ブロムナードは怪訝な顔をした。

「…ずいぶん感受性の高い人のようですよ…
 普通の人間に感知できるものじゃあないんですが…」

「…もう…大丈夫よ…妨害電波のようだわ…携帯電話…使えないはずよ…」

ジョーンが言う、この女…携帯電話の電波を「聞く」事が出来るの?
目も押さえたって事は「見え」もするわけ…? 盗聴し放題ってわけ…?
いや、「その気になれば」って奴だろうけど…
緊急事態なんだろうに、あたしはなんだか半分呆れてしまって
戦闘意欲が薄れてしまった。

ウインストンが普通に

「…マジだ…使えねえぞ…」

「…ああ、ルナ…緊張は解かないで…「受信」したり「映像化」
 したりそういう風に「ちゃんと感知しようと」しない限り…
 ノイズにしか聞こえないし見えないわ…」

「…いやぁまぁ…悪かったわね、でもなんだか…」

「確かに…そんな能力があるなんて…厄介な女性ですね…貴女も…」

ブロムナードもその時になって種明かしをして
こちらの恐怖心なり煽ろうと言う計画が頓挫してしまったんだろう、
調子を崩したようだったが…

「…スタンド能力っていうのは…今その場に見えている能力だけでは
 「すなわち何使いだ」とは言えないもので…私はそれが「売り」
 なんですがね…」

「なにー? 電波使いじゃあねーのか!?
 超電磁ヨーヨーとかよぉー!?」

…これだもの、緊張感沸かないって…

「副次的な効果ですよ…本物の効果はこちらでしてね…」

スタンドの右手が構えと共に回転をはじめ、光を放つ…
ジョーンが言う。

「思い出して…C=ベイリーズ氏はここで…多分高熱を使った
 殺され方をしていることを…」

あたしがジョーンを見てそれを聞いてると、

「…緊張感が殺がれた…というのは理解しますが…それでは貴女…」

スタンドの腕の回転と光が強まる。

「…死にますよ…アルファーッッ!!」

スタンドがボールを投げるように右手を突き出すとそれが飛んできた!
まっすぐあたしに…! ヤバい…!

「ロケットパンチかよ! ルナ、避けろッッ!」

ジョーンがあたしを抱えてダッシュするように飛んだ。
彼女の目を見ると、彼女は左手をわざと「それ」に近づけているようだ。
…確かめようとしてる…!?
また貴女はそんなことを…!

「…甘いですよ…」

ブロムナードがつぶやく。
パンチが通り過ぎるすごい風きり音と、肉の焼ける音…というか…
一瞬にして焼けたって感じの…

あたしとジョーンが倒れこむ。
…と…倒れこんだもう少し先に軽くまた何かが落ちた音…
…それはジョーンの左腕…手首から10cmくらい先までの…
その手には見つけた遺留品が握られている…
…手の…断面は焼けて炭になっている…

「…ううッッ…!!」

少ししてからジョーンが痛みを感じたようだ
左腕が二の腕の途中からない…

あたしは助けてもらったって言うことも忘れて

「…また貴女は…どうしてそういうことをするのよッ!」

痛みをこらえるジョーンは言った。

「…信じて頂戴…「かすめさせる」つもりだったのよ…
 パンチに触れずに…温度や特性を知ろうと…そうしたら軌道が…」

「…ある程度軌道を変えられるのか…くそ…」

ウインストンが構えなおす。

「私もバカではありませんのでね…多少はこういう修業もしてますよ…
 さすがに90度向きを変えるとか…そういうのは無理ですがね…
 彼の…カールトンの「遺留品」も外してしまいましたし…
 …さて…一人殺すのは失敗しましたが…一人深手は負わせられましたね…」

ゆっくり戻ってきた右手がスタンドに収まると
アルベド0.39の左手が更に放電する。
もう目に見えるほどに…

「…どうやら…右手はプラズマ…数万度の高圧高温…
 電離した電子が寄り集まって左手の効果を生むみたいね…」

「…一撃でアルファとパルスターを判断しましたか…素晴らしい、
 ですが二発目が当たった時に…生きていられるかは別ですが…」

数万度…なんて能力…!
ウインストンの「風」もそれ自体は空気なわけだから…
威力的には敵わないだろう…相当考えた攻撃が必要ってことね…

ジョーンの左腕を見ると骨から徐々に回復して行ってる。
なるほど…まだこの辺りに材料は残ってるし…
一気に蒸発…分解電離したってなると組みやすいって訳か…
彼女の回復と…遺留品を取り戻す為には…ジョーンの左手…確保しなければ…!

…こんなスタンドの使い方…する日が来るとは思わなかった…
あたしは立ち上がり、深呼吸をしつつ後頭部を
ア・フュー・スモール・リペアーで触る。
勿論あたしに怪我はない、だけど…余計な迷いが消えてゆく。

怪我を治す以外のもう一つの効果…キモチを上向ける…!

「おい…! ルナ! オメー立ち上がったならどっかに避難してろ!」

ウインストンがあたしに言う。

「何? あたしが足手まといだから?」

「ああ、言ったろ、こういう場面じゃ期待してねーよ!
 お前の価値は頭脳と治療なんだからな!」

「…ふっ、ええ、そうね。 でも、彼だってあたしが逃げようとすれば
 それは全力であたしを消しに来るでしょうね。
 路地裏とか、建物の影とか、プラズマならあっという間に蒸発だわ。」

「…くっそ…逃げられねーってか…」

「…そう、あたしは戦いの場では「足手まとい」、…それがいいんじゃない。
 「足手まとい」なのがね。」

「何?」

あたしの運動能力の限界まで引き上げて「ジョーンの左手」までダッシュした!
勿論二人ともビックリしてるわ

「おい! ルナ! オメー何を…!!」

「いけないルナ!」

ブロムナード…彼もこの中で一番足手まといな
あたしが動いたことで一瞬ビックリしたんだろう、
一瞬判断が遅れたようよ!

「…させませんッ!!」

アルファとか言うアルベド0.39の右手が飛んでくる!

「くそッ!」

ウインストンも「暗闇坂むささび変化」…でしたっけ、
カマイタチ技を奴に放った。
攻撃のチャンスでもあるでしょ!?
しっかりやんなさいな!

あたしはスタンドの拳より先に左手をゲットし、一瞬の
タイミング待ちの後ギリギリのところでジャンプで
ジョーンのところに戻ろうとする。
あたし…というより「左手」を狙ったロケットパンチ、
軌道をかえるにしてもかなり大掛かりなコントロールが必要なはずよ!

「…くッ…まさか貴女がそんなバカな真似をするとは…!」

…テンションはスタンドで無理やり上げてるわけだけど…
あたしの場合集中力が増す…意外に冷静に状況を見れてる。
ブロムナードにも攻撃が迫ってる。
どうする?
拳を戻す?
スタンドでガードをすれば最小の怪我でしょうけど、
飛んでる拳の方はコントロールできないでしょうよ?

あたしはそのタイミングなら逃げ切れる!

…しかし…彼もそれなりに場数を踏んだ「歴戦」のようだ
僅かに体をずらしてその攻撃の大半をその身で受けつつ

「…私は…この程度でひるんだりはしないッ!!」

彼は血を飛び散らせつつ、最大限に拳をコントロールする方に注力した!

…あたしの読みが浅かったか…!
拳があたしの右足に迫る!

…でも…予想済みよ。
この場で彼がほんの少しでも迷ったなら、それはもう確実に
左手と遺留品がジョーンの手に渡る。
くれてやるわ、…ジョーンの能力を期待してないと出来ない覚悟だけれどね。

光と熱の束があたしの右足を通り過ぎる。
その瞬間はジョーンがそうだったように、熱さも痛みも感じない。

あたしはジョーンに左手を投げた。

ジョーンの手前一メートルほどであたしは落下した。
落下してから強烈な痛みが襲い掛かってきた。
フュースモールリペアーで2,3度効果を使う。
…これは怪我を治すためじゃあない、テンション上げ続けて
脳内物質のコントロールで天然の痛み止めって訳よ…

あまりやると体が中から燃えるから連続では出来ないけれどね…!

「…く…ぅぅ…」

でも…なかなか言葉になんないわね…!
やっぱ苦痛だわよッ!

左手をしっかり持ったジョーンがブロムナードを警戒しつつ
あたしに駆け寄り

「ルナ! 貴女こそ何をしてるの!?」

痛みに顔がゆがみつつ、あらん限りの「ニヤリ顔」してやって言ってやったわよ

「…あなた…自分が…普段何して…周りを冷や冷やさせてるか…
 これで少しは…判ったかしらね…?」

遅れたタイミングであたしの焼け残った右足の脛から先足首までの
30cmくらいが落ちてきた。
チラッと見ると…右足が太腿の真ん中くらいから無いわ…。

ジョーンはあたしが身を持って普段ジョーンがやってる
「自己犠牲」をやってのけたことで、多少は身に染みたような顔になる。

「…でも…でも、太腿の重症はそのまま死に繋がることもある
 大きな怪我よ…!」

あたしらのこんなドラマみたいなものの間に、
ウインストンは抜け目無く、拳を戻すブロムナードのスタンドの隙を突いて
もう一撃与えた、流石にそれは殆どガードされたけど…
少し間が出来た。

「…やりすぎだぜ、ルナ…だが…ジョーンも判ったろ…
 ちょっと大げさかも知らんが…お前の体はもうお前だけの
 自由な体じゃあないんだぜ…」

仲間を持つと言うことは時として強みにも弱みにもなる。
それは例えジョーンであっても。

ジョーンはこのことを深く深く心に刻むような、
悲しそうな顔をした。

「…でもこれでもう仲間なんてやっぱり要らないとかは無しよ…?
 貴女何のためにここまでやってきたのよ…?」

あたしが言うと、ジョーンは少し泣きそうな顔をした。

…やだな、スタンドで無理やりテンション上げてるからか、
こんな時に「あ、もう少しでジョーンを泣かせられる」
とか思っちゃったわ。
…あたしもなんだかビョーキね…ふふ…

ともかく、遺留品もジョーンの左手も無事戻った。
オーディナリーワールドは拳で力を発動させるわけじゃあないけれど
(勿論それも出来るけど)
回復は早い方が良いわ…あなたは戦えるしね。

ブロムナードは正直、あたしの行動にだけはびびったようよ?
20メートルの距離を開け、安穏とウインストンやジョーンだけ
警戒してればいいってそんな雰囲気だったからね。

「…あなどってましたね…運動下手だと…」

右半身のウエスト辺りから肩口までざっくり「むささび変化」の
攻撃で切られて、かなりの出血だ。

「…俺も思ってた…つまりこーいうことだよ…
 「俺たちも本気だ」ってな…」

ウインストンが言い、そして彼に

「…だからお前も気をつけろ…?
 俺もちょっぴり一匹狼気取ってた頃の精神が戻ったぜ?」

ブロムナードの頭上、建物の一部分がさっきの攻撃で既に切られてた。
レンガ数個ほどの建物の破片が彼に落ちてくる。

その気配と、先に落ちてきた小さなかけらで彼は気付き、
スタンドの右腕で消し飛ばしながらそれを弾き飛ばした。

「オメーの敵は…目の前だけじゃあねぇ…」

「…そのようです…なんてことだ…楽勝かと思いきや…
 本当にやれやれですね…」

拮抗状態になった。
どっちもうかつに手が出せないと言うか。
20メートル離れてるのに、お互いの
ピストルで動けない様…というか…

拮抗状態になったついでに…というか、
ウインストンが相当疑問だったらしいので彼に聞いた。

「…おめー…礼儀もわきまえてるし意思もしっかりとしている…
 戦いは非情だが、払うべき敬意というものも知っている…
 わかんねーぜ…ジョーンのスタンド能力以上にわかんねー。
 なんだっておめーみてーのがBCなんぞにいる…?」

荒い息を吐きつつ彼も答えた。

「…色々と…あるのですよ…ここで私の身の上を
 語ってなんになりますか?」

「身の上…ね…貴方の…多分母親辺りがBCの手中なんでしょう、
 病気の治療とか何とか…「親子代々」BCに仕えねばならない身である…とかね」

あたしがそれを言うと、彼の表情にちょっとした曇りが出た。

「そうね…親しくも無いターゲットなら「カールトン」と正確に
 「ファーストネームで」呼ぶことも無いでしょうし…
 子供の頃は…一緒に遊んだ仲だったとか…それは考えすぎかしら…」

ジョーンも続けた。
やっぱり貴女も彼が被害者をファーストネームで呼んだこと、
そしてベイリーズ氏の友人が裏切った、と言うことが気になったようね…

彼は構えなおしつつ、

「…ファーストネームで呼ぶこともあるでしょう…?
 どの道、最初の「どこ」に「運命の分かれ道」があったとして…
 私はこの道からは…足をそらせないと言う事実だけは…
 …言っておきましょうか…」

相当堅い意志のようね…

怪我を負ったあたし達女二人は改めて命を狙える、という一点かしらね、
やっぱり遠距離攻撃が可能なウインストンにブロムナードは
注意が行くようよ、ちょっとでも攻撃のそぶりを見せると
どっちも「次の一手」を読み合い、また動けなくなる、と言ったような。

「ヨォヨォ、アンチャン…オメーサン…運命トカッテ奴以外ニ
 人ニハ分相応ッテモンガアルノハワカッテンノカイ?」

…いきなりなんだと思ったら、「風街ろまん」が喋った…!?
今まで喋るにしてもウインストンの指示に応える形でしか
喋ったの見たことが無かったあたしらは軽く驚いた。

「…知ったフウな口を聞くスタンドですね…」

けど、僅かに逆上したようだ、アルベド0.39の右腕が光り、
拳を打ち込んだ!

「修行を積んだのはオメーだけじゃあねーッ!」

ウインストンが風街ろまんの「むささび変化」を繰り出す…!

ソニックウェーブって言うのかしらね…空気の波が見える。
それは地面の埃やら何やらを吸い込み、アルベドの右手…アルファを
包むように円状になった。

バチバチッっと火花のように重なった瞬間、お互いの視界が
光で見えなくなったんだろう…なるほどウインストン
戦闘に関する「知恵」なら貴方も抜群よ…

…半ば本能でやったんだろう、地面を形成する各元素…石だから
金属元素なんかも結構含む。
それらをプラズマ化させ、その火花を利用する…
ウインストンはその間に少し移動し、
彼は目のくらんだ一瞬の判断遅れで拳を操る範囲が狭まる…

ウインストンは拳を回避しつつ、もう一度むささび変化を放った!

ブロムナードは判りやすく「味な真似を…!」と言う顔をして
拳を操るのもそこそこに自分の方のガードに注力しなければならない、
そしてウインストンのむささび変化も多少なら曲げることが出来る…!

そう…あたしからしたら傍迷惑なあのタバコの煙の修行の成果よッ!

彼も最大の回避をしなければならない!
今まで殆ど一箇所にたたずんでいた彼も大きく位置をずらした。
それは結局、あたしら二人から彼を僅かに離す結果になった。

拳や風をお互いが操りあった結果、地面の埃とか砂とかが巻き上げられ、
それが晴れたときには…

お互いジャンプに近い感じで大きく回避したんだろう、
ウインストンの服の右肩の辺りが少し焼け焦げ、彼の帽子のつばが
部分的に蒸発した状態で舞い上がり、地面に落ちた。

ブロムナードのほうは…今度は左肩を少し切られたようよ…

…それにしても…ああ、いけない…テンション上げたせいかしらね…
思わず笑いが…

「…ふふ…ふふふ…w ウインストン貴方…」

ジョーンもちょっと怪訝そうな顔であたしを見る、
原因は判ってるようだけど、必死であたしとジョーンの足や腕を治しながら。

ウインストンはもっと怪訝そうに

「ぁあ? なんだよ? こんな時によ…」

あたしの方は見ずに言葉だけを返す。

「…その帽子…いつかとってみたいとは思ってたのよ…w」

「…なにぃ?」

「…ハゲでも隠してるのかと気になってね…」

「なんだオラぁ? これはそり込みだ、そ・り・こ・み!」

あたしがおかしそうに笑う。
もう、あたしにも半分訳わかんなくなってる。
副作用かしらね…スタンドをこんな使い方しなかったし…
ジョーンもヤバいと思ったのだろう、オーディナリーワールドの
手があたしの頭を覆う、多分脳内物質を抑制するんだと思う。
でもそれで痛みが強まったら意味が無い、
神経伝達の方を調節して同等の効果を与えてるようよ…

ウインストンとブロムナードがほぼ同時に…ゆっくりとだけど立ち上がる。

また拮抗だ…ウインストンも二度同じ手は使えないとわかってる。

少し冷静を取り戻したあたしが小声でジョーンに聞く。

「あなた…前から気になってたのだけど…
 フィールドを幾らでもえげつなく活用できるのに
 やらないのは…やっぱり貴女の意思からかしら…?」

「…ええ…まぁ確実に決められそうだって言うものならともかくだけれど…」

「…だったら…おかしいわね…貴女ひょっとして化合物には弱い…?」

「第一次世界大戦とかも遠くで見てたし…塩素ガスとか
 酸素をオゾンに構造変えるとかも…ちょっと…ね…
 周りに与える影響もあるから…」

「まぁ…それはね…でも…そう、貴女やっぱりちょっと疎いわね…
 命の取り合いなんだから…」

あたしは、今度はハイテンションじゃあないわよ、にやりとして

「…貴女に今から「魔法の呪文」を教えてあげるわ。」

ジョーンはちょっとビックリしたような顔になった。
さぁ…こちらからの攻撃開始よ…!


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