Sorenante JoJo? PartOne "Ordinary World"

Episode:Ten

第三幕、開幕


夜は暫く女性陣四人組の部屋で全員様子を見守っていたんだ…ジタンがお送りする。
ただ…フロントに頼んで分けて貰ったコピー用紙に一心不乱に軌道計算の為の走り書きを繰り返すルナ
ジョーンはあの時見た実際の地形と共に、ネット上から写真などを見てとにかく微細なThe Rockの
東側断崖の地形と、等高線を描いていた。

そのうち、ポールも計算に付き合っていたが、まぁ歳と昼の登山とでケントと一緒にダウンして自室に戻り…
ウインストンも特に自分に出来る事はないと自室に戻り…ミュリエルも、リベラも…
まぁ猫は寝るのが仕事か…とにかく一人ずつダウンしていった。
俺がミュリエルに軽く毛布を掛けてやっていると、俺の携帯にメールが。

「姉からだ、とりあえず判りやすそうなのを数枚だそうだ、そっちに転送するぞ」

ルナがペンを止めて

「あ…、助かるわ」

「…とはいえ…おい…この写真解像度どんなけ高いんだよ…
 スキャナーでとにかくでかくスキャンして寄越してきたらしい…
 良く受け取れたな…」

USBケーブルで繋いで写真のデータを向こうのPCのデスクトップ上に置く。

「アイリー、チェックお願いね」

「あいよっ」

ちょっと眠くなりかけてたアイリーだったが、濃いめのコーヒーをぐいっと飲み干して
デスクトップ上の写真をダブルクリックした。
確かに、丁度戦争ちょっと前くらいの祖母のポートレートだ。

…ただ…

「あー、うーん、顔でピント合わせてるからやっぱりアクセサリーまでは
 そこまではっきりしないなぁ…
 こっちの写真は…さっきのよりははっきりしてるけど、横向きでちょっと引いた写真だし…
 こっちは…やっぱりアクセサリーだけはっきりって訳にはいかないねぇ〜
 …でも…全体のシルエットは判りやすくなった…えーと…
 あ、ジョーン」

「……うん?」

「これさ、白黒写真だけど…材質と経年劣化とか判るかなぁ…?」

「…(画面を見ながら)…難しいわね…でも…多分真鍮製だと思うわ
 真鍮は銅と亜鉛の合金…錆は青緑っぽくなるわ…黒ずみが先ず先かしら」

二人の会話を聞きながらルナが

「…破損の可能性も高いわ…パーツで検索するのもありかも知れない」

「あ、そうか…あんな崖落ちていったんだもんね…ねぇ、ジタン」

不意を突かれたが

「ん?なんだい」

「これさぁ、デザイン的にもロケットペンダントだと思うんだ、だったら中の写真は何だろ?」

「それなんだが…これが実はシークレットなんだよ…誰も知らないんだ」

「あやや…恋人とか?」

「…いやぁ…もうそういう浮いた話一つ無いらしいから…
 なんで恋人…ってのはなさそうなんだよな…だから彼女の…両親何じゃあないかな
 パリ侵攻前に…ただし戦争の影響で二人とも亡くなっているんだ」

「なるほど…それっぽいね」

アイリーは検索条件を絞り…

「…0になっちゃった…でもおかしいな、0はいくら何でもおかしい」

検索条件を変えて行く

「似たようなデザイン…あるいは材質が真鍮…そういう風にしかしぼれないな…
 これで五件まで減らせた…写真はもう失われてるかしてるみたいかな」

「そうか…しかし大したモンだな…健康には気をつけてくれよ、
 君、K.U.D.Oの仕事の8割は担当してるだろ」

「あはは、BCで働くジタンに言われるって何かおかしーね」

「そうかなあ…いや、凄いよ、何が凄いって使いどころを心がけているのが一番凄い」

「んーまぁ、興味本位って危険だからね」

「それも…そうだな、ニル氏もそれで最終的には命を落としたような物だし…」

「アイリー、その五件…ジョーンの書いた地図で言えばどの辺か印していって」

「あいあいさー」

全く、天真爛漫に振る舞って(実際そうなんだろうが)実は凄い精神力だぞ
「身の程を知る」っていうのはこう言う事なんだな、ダビドフと彼女が出会ったら…
どんな会話になるんだろうな…ちょっと考えてしまうよ。

「…なるほどこうか…ただ…60年の月日で天候などの影響から多少動いたり
 さらに落ちたりを考慮しても…落下開始地点と落ちていった方向から…
 この二箇所は除外していいと思う…だから…ここか、ここか、ここ!」

ルナが三箇所までさらに絞った。

「…ここだとしたら…道路にも近い斜面だし…考えにくい気もするわ…」

ジョーンがそのうちの一カ所について、地理的条件からペンダントのような物が
そこにある可能性は低いのではと言う推論を出す。

「アイリー、詳しい位置は判る?深さとか」

「あー、うん、…ただこれ…やっぱ現地までいかないと…破損具合が判らないから
 あんまりはっきりした事言えないや」

「じゃあ、やっぱりこの三件でそこからはローラーだわね、よし、解散!」

全員がふぅ、とほぼ同時に一息ついた、ちょっと可笑しくなっちまった。
「ああ、やれやれ」とルナがその場で上着を脱いでブラウスまでボタンを外し出す

「お、おい…、今すぐ退散するから俺が居なくなってから着替えは頼むよ」

「…あ、そうか…ごめん、こう言ったら侮辱に聞こえるかも知れないけれど
 どうも貴方が居ても「異性が居るのだ」という気になれなくて…御免」

「…あ、そーか、ジタン男の人だったね、あんまりどっちって意識しない人だから
 あたしも脱ぐとこだった」

なるほど、確かにアイリーも薄手のトレーナーを半分脱ぎかけていた…

「いや…それほど俺が信用おける存在だって好意的に捕えてはいるが…
 それでも一応生物学上男なんだ…ただ…」

「どうしたの?」

「何だろうかな…昔から淡泊な性質というか…「ムラムラする」って感覚が
 よく判らないんだよな」

「うん?精通は?」

ルナがどキッパリ聞いて来やがった…

「さぁな…夢精とかはないよ」

ルナはエロ話としてではなく真剣に捕えたようで

「あなた…何か障害を抱えている可能性があるわ…病院で診て貰ったほうがいいわよ」

と来たところでジョーンが

「わたしが調べましょうか?」

オーディナリー・ワールドの手が出現する

「いやいやいやいやいや…いいよ、結構だ、社としての健康診断の範囲では
 特に何もないんだがな…個人的には別にこれでもいいと思ってるし」

ルナは至って真剣に

「子供を作れない体質かもなのよ?」

「…それなら、それで構わないさ、
 別にゴロワーズ家なんて特に伝統があるわけでもないし
 あったとして男系男子でなければならないなんて事も無いし」

「まぁ、それでも、もし将来貴方に惚れる子に対してちゃんと言ってあげられるように
 検査だけはしておきなさい、大事な事なんだから」

本当に、本気で心配してくれるんだな、前も言ったが
学生時代に君に出会ってたなら君に惚れていたかも知れないよ。

「ああ、判ったよ、では俺も退散するぜ、明日は朝六時でいいか?」

「ええ、三人にはそう伝えてある、お休み」

「お休み」

全く、参ったな、でもおかしいのかも知れないと思うよ、周りの男どもを
見ていても男の生理みたいな物がまるで理解できないんだから困ったモンだ…
…ああ、ちなみに俺は別に半陰陽って訳でもない、それはもう最初に確かめたんだ。
俺は「男の形をしているだけ」なんだよな。
あるいは、だからこそそれなりに強力なスタンドも持てたのかも知れないと
それならそれで俺はそれに満足しているんだけどな…



午前六時!
朝だぜ朝ァー!
さーて、現地へ向かう道すがらだァー!
ケントだぜェー

レンタサイクルに乗ってよォー
とはいえ、全員分だと速度もまばらになるだろーからって事で二人乗り基本で
ウインストンの後ろにポール、俺はミュリエル(まぁーいいハンデだw)
ジタンの後ろにアイリー、ジョーンの後ろにルナというまぁまぁいい構成だ。

…ところがジョーンがなかなか自転車も下手くそなんだよな、乗れるは乗れるんだが

「ちょっともう…貴女…ああ…気をつけて、今のギリギリだったわよ」

後ろのルナがなかなか生きた心地がしねーよーだぜェー

「御免…なさいね…どうも…「車体感覚」っていうのが…よく判らなくて…」

ジョーンも結構必死に漕いでる、なんだろうなァ、ジョーンって自分の体一つだと
もの凄いんだが、何か乗り物を操るとかがむっちゃくちゃ苦手みてーだなー
ふらふらはしねーんだが、障害物に対してギリギリとかカーブの仕方が
良く判らなかったりとか、いやぁー、相変わらずなんか見てる分には面白い奴だよなぁー

「走ってる貴女に負ぶさった方が下手したら安定してるかもね…」

「ええ…正直その方が確実だと思うわ、時速20kmくらいなら全然平気だし…
 ただ、見た目がね」

「そう、見た目も大事よね…」

オレ達はこう言うやりとりは割と慣れた物なんだがよぉー
ジタンが噴き出しかけている

「意外というか…でもなんか微妙に「らしい」気もするな」

ミュリエルが

「いや…私にとってはかなり意外なんだが…万能そうな人なのに」

「ジョーンはね…おっと…なかなか…不思議なのよ…っと…今の危ないって…
 エスカレーター乗るのも苦手だし、自分の体を何か物を操って移動する…
 っていうのにどうも…どうしても慣れないみたいなのよね」

ルナが結構必死にジョーンにしがみつきながらミュリエルに説明した

「だから、ひょっとしたら、自転車はミュリエルに教えて貰う立場かも…」

ジョーンがちょっと困った顔で言う。

「自転車の練習か…いいかもしれないな、やっておこう」

ミュリエルが言った。
これ、フツーの青春物なら敢えてそう言ってミュリエルの成長を促す
所なんだろーけどよぉー、マジだからなぁー、こう言うのが下手くそっつーのがよぉーw

んでまぁ、海峡を望む半島の南側をぐるっと迂回して東側に出る。
まぁ、ホントなら直行なんだけどよォ、天気がすっきり良くって南端近くを通った時によォー

「あ、あれ、アフリカ大陸かな?」

アイリーが言うと全員そっちを見る。

「なかなか運がいいかもね、晴れていると言うだけでは見えない事もあるから…
 あれはモロッコよ、あっちの方に…スペインの飛び地も見えるわね」

ジョーンが思わず立ち止まる。
なかなか晴れ晴れとした表情だ。

「19世紀に一度砂漠に行ったとは言ってたけれど、いい思い出が?」

正直、このまま乗ってたんじゃ持たないと思っていたルナがちょっと助かったと
思ったような表情で言った。

「ええ…動機は覚えてるのよ、近世から近代に移り変わる動乱に嫌気が差してたから…
 静かな砂漠で月や星を見ていたくて…」

「ロマンチックな奴だなぁ−」

オレが思わず言う。
ジョーンはにこっと笑うと

「…そこで何かあった…と思うのだけど…忘れなくてはいけないと思ってる内に
 ホントに忘れてしまったのよね、砂漠で…何かあったけど悪い記憶ではなかった…という記憶だけ」

「なにか…「邪魔をしてはいけない」何かだったんだろうな」

ジタンが言う。

「そう思うわ」

また急にペダルをこぎ出すジョーンに慌ててしがみつきながらルナが

「ああッ、ジョーン!もう!」

オレ達も笑いながら、また自転車を進める、
東側は南端付近と北端付近だけ割となだらかで家もある感じだが、
真ん中辺りにあのずでーんと鎮座してる岩山、東側は基本的に切り立っていて
長年の天気とか、あるいは崖崩れか何かが元でちょっとだけ
なだらかで草が生えている所もある。
(とはいってもよぉ−、断崖と言うには、程度だが)
南東からちょいとトンネルに入って、抜けきったら直ぐえれーカーブがあって、
その坂の南側にまず第一候補地点があるわけだ。

サンディ・ベイってとこらしーな。
なんか砂浜だし普通に泳げそーな…いや、オレは泳げねーが…
まぁ観光客も朝日の海岸を散歩したりさ、そーいうのどかな場所だ。

「んー、よしよし…この…坂のねぇ…」

アイリーがスタンドでポイントを絞りながら坂に少しのぼる。

「…地中だねぇ、1メートルくらい奥…関係ないかな?」

草も生える坂…とはいえ、結構な勾配で瓦礫そのまんまって雰囲気の部分もある

「…60年って月日は結構痛てぇよな」

ウインストンはホテルからスコップも借りてきたんで掘り返してみた。
(あ、園芸用とかじゃなくて土木工事で使うような足使って掘る奴な)

「…たしかに1メートルでも絶対有り得ないって訳にはいかないわね…争いのあった地だし」

ルナのリペアーも…こっちは園芸用スコップでウインストンの相づちを打つかのよーに
土を掘り下げていってる。

そのうち

「ん…これか」

ウインストンが地中にきらりと光る…とまでいかねーが金属を発見したよーだ

リペアーがそれを丁寧に掘り出してオレ達に見える高さにまで持ち上げると

「…確かに大きさもそれなりだし真鍮だし…それなりのアンティーク品だわ」

ジョーンが呟く

「ペンダントじゃぁ〜なかったよーだねぇ、丸っこくて似てるけど…w」

アイリーもちょっとがっかりしたよーに言う

「これは馬具ね、まぁ…戦闘中か移動中に落ちて何が原因か巻き上げた土砂で埋まってしまった物なんでしょう、
 真鍮の歴史は欧州ではそれほど古くないし…第二次大戦のトーチ作戦より前…1941年あたりまでが候補かな
 そう言う意味ではアイリーの検索能力はかなり正確よ…次行きましょう」

ルナが言う、馬に乗れて歴史に詳しい奴が言うんだから間違いねーな。

サンディ・ベイを北に向かいつつ、ブラックストラップ・コーブ(入り江)の辺りに来ると…
…あ…ありゃー…

「小粋じゃあないのか?」

オレの後ろからミュリエルが言う、確かにポーチ下げた猿がよォー、ちょいと上の方にいるんだ。
全員ブレーキをかける、まぁここでもジョーンは加減が判らなくて急ブレーキになって
ルナがジョーンの背中にムギュって感じでよォーww
ルナもびしっと決まった大人の女になったか?と思ったらこの扱い、
オレなんかもーおっかしくってしゃーねぇーやw

「何笑ってンのよ…もう…」

坂の上のコイキはよぉー、オレ達にこっちへ来いって感じでちょいと手招きするんだ。
一瞬オレ達はお互いを見るんだが、何をする気にせよ、このまま通り過ぎるのも可哀想だ
…しっかしここ…勾配何度あるんだよォー…言っとくけど10度を超えたらフツー「きつい坂」なんだぜェー?
勾配30度は超えた急な坂を全員でえっちらおっちら少し登ると、コイキがまたスタンドを呼び出す。

「ポール!録画開始!」

ルナの号令が飛ぶ、ポールはちっと慌てたが、カメラを回しだした。
時々通り過ぎる観光客とかのバスもあるんだがよぉー勿論一般人からはスタンドは見えねぇ訳だから
まぁ「こんな所にもお猿さんが!」と舞い上がった観光客にしか見えないわな。
ただ、再生される「場面」は録画出来るってこた見えるわけだから、コイキと、その若干下に
オレ達が居て、再現場面はなるべく見えないように人垣で隠すわけがだよぉー
あ、オーディナリー・ワールドの能力もカモフラージュに一役買ってら。

それは、1999年の、そう、あの事件の続きだった。

ソルテのおっさんが自分のスタンドで投影した「誰か」に一瞬隙が出来た「ディアボロ」とか言うヤローの
場面からだ、その「誰か」についてジョーンは覚えがあるのか

「ドクター・空条だわ、咄嗟に「強そうな誰か」を見せるのに彼の知識の範囲内だと
 これしかないと思ったのでしょうね、日本にいる事は知っていたのでしょう」

ジョーンが言う、

「おお、何かイメージちげーな」

ウインストンが言うと

「DIOを倒した当時の彼は17才だぜ…ソルテ氏はリアルタイム投写の能力だから
 27、8才当時の彼と言う事になるな」

ジタンが補足する。
しかし…ディアボロって奴の姿が良く判る…それほど派手な服装はしてないんだが
特殊な髪の色といい、狂気をはらんだ目といい…まともじゃあねェってことはオレにも判る。

…ディアボロはおっさんの能力が「投写」でしかないって事を見破るのにそれほど時間は
掛からなかったが、おっさんはその時奴を背に逃げ出しつつ、なるべくアクションが
見えねーよーにビデオテープを抜き出し…そして…

『おいエテ公!こいつを頼んだぞ!』

おっさんが自分の走る先にいるコイキにビデオカメラの方を投げる。

『バカめ…そんな事をしても無駄だと言う事を教えてやる!
 キング・クリムゾン!』

奴のスタンドが現れる(スタンド使いの猿の再現した光景なんだからスタンドも込みだ)
メンタマも飛び出してるよーな感じで額にもう一つ顔もあるし、なんつーか…

…現れたと同時に、おっさんから十数メートル離れた猿の手にビデオカメラが…という場面から
一気にその「キング・クリムゾン」がコイキ諸共それを粉々にしやがった!

「ここで時間を吹っ飛ばしたのね…恐ろしい奴だわ…」

ルナが呟く。

だがよォー、それは確かにビデオカメラは粉々にしたんだがコイキが居ない!

『へっ、アンタの能力…そう長い時間はカットできねぇーようだな』

『貴様…ッ!』

そう、おっさんはビデオカメラの方に注意を向けつつ、コイキは「投写」して
そちらに奴を突き放しつつ、どうも逆方向に居たらしい本物のコイキに
ビデオテープの方を投げたらしいや、そこは「時間が吹き飛んでる」から判らねぇーが
時間が吹き飛んでいるとしても、実際に動ける距離は普段と変わりがないって
見抜いたらしい、ちゃんと奴が自分を追い抜いてビデオを潰しに走るタイミングを
「事前」に見計らってやったから奴の目を欺けたよーだ。

「ソルテ氏は…この時点でかなりディアボロの能力について熟知は出来たようだな」

ジタンが言うと

「ああ…なかなか敬服に値するぜ…どのみちこの先は…」

ウインストンがそう言うと、激高したディアボロが時を吹き飛ばすのもやめて
おっさんの土手っ腹をぶっ飛ばし、おっさんが…俺達が今居るブラックストラップ・コーブから
そのもう少し北のシャーリー・コーブって所の…もうちょっと坂の中腹付近まで
吹き飛ばされたのを再現で追いつつ、再びディアボロに戻り

『ビデオカメラは潰したが…くそ…ッ、テープの存在が判らないッ!
 あのイギリス人…本当に撮っていたのか…?テープと共に猿を逃がすための
 方便だったと考えて置いた方が自然か…しかし…こんな所をいつまでも
 うろうろとはしておれん…!
 スタンド使いの部下に頼んだ方が確実だろうが…この場面を何処まで記録したかに
 よっては…中身を確認されると不味い…矢張りペリーコロの部下ども辺りに
 行方は追わせるか…(携帯電話を取り)ペリーコロ…後始末が一件増えた
 シャーリー・コーブより少し上の坂にある…そして…お前の部下で
 ここの猿…ビデオテープを所持しているはずの猿がいる、そいつを追え!』

…と、ここで再現は終わった、そしてコイキは坂を進み出す。
オレ達はそれについて行くが、何処に行きたいかは判っている。

「何処かには供えようと思ってたけど…ここだったんだね」

アイリーが小さな花束をそこに供えて、オレ達は冥福を祈った。
全部を見て貰ったコイキはもうそれで十分だったんだろう、オレ達に向かって
また敬礼をした、オレ達もそれに応えると、アイツは今度こそ
どこかに去っていった。

「捜し物そのものは興味ねェーのかなぁー」

オレが言うと

「それは私達が探して、ちゃんとどうにかすると信頼しているのだろう」

ポールが言うと、うん、まぁーそーだろーなぁ。
ルナが地図に記された丸印をチェックして

「…あら、この直ぐ近くだわ…もう一カ所」

その言葉にアイリーが

「…んー…これもやっぱ地中だねぇ。
 あー…これは…」

「どうしたのだ?」

ミュリエルが思わす質問すると

「岩が蓋になってるねぇ…この…(といってでっけぇ岩にぽんぽんしながら)
 下になってるよ」

しーんとしてから

「おらぁぁあああ!掘るぜ!」

ウインストンがスコップを振り上げると

「レット・イット・ビー…無茶するなよ…」

ジタンのスタンドが岩に触れるとそいつが風化して砂になって行く。

「お…おう」

まー岩を回避しながら掘るよりは幾らかマシになったがそれでも砂山は残るからなぁー

掘り進めていくと…

「あー、そろそろだよ、優しくねー」

アイリーの指示で、今度はリペアーがまた穴掘りを受け継ぐ。

「…そういや…君の生まれ変わったスタンドを俺は今初めて見るんだよな」

ジタンが呟くと

「…あ、そういえばそうね…まぁいいでしょ。
 これだけ馴れ合っといてもうあたしらの安全が減るも何もないわ」

ルナは改めて残る二人も呼ぶと
フューは密かにずっと出現していたらしくジョーンにべったりだったのが慌てて
スモールと共に整列した。

「高揚担当、治癒担当、力仕事担当、以上よ」

あっさりしてんなぁー

「なるほど…w よく判ったよ」

「Hey!コレジャアナイカナ」

リペアーの一声でみんなが注目する。

それは…あっちこっちひしゃげてたりはするが、確かにペンダントだった。

「これ…かな…?中開けられる?」

アイリーがリペアーに言うと

「錆ビテルシ、拉ゲテルシ、マズハ形ドーニカシナクッチャアネ」

といってジョーンにそれを放った。
受け取ったジョーンはそれを見つめながら

「…これのような気がするわ…わたしの記憶からしても
 矢張り直さなくてはダメかしらね」

「中の写真に覚えがあるって事?」

ルナが聞く

「…ひょっとしてレベルの話だけれどね」

観念したようにオーディナリー・ワールドが出てきて修理を開始する。

「よし、じゃあこの間に念のためもう一つ、掘り出しましょう
 ジョーンはそこにいて、ちゃあんと修理しなくっちゃあダメよ」

ルナが強調すると、ちょっと苦笑気味にジョーンが斜面に座っていよいよ集中しだした。

「ペンダントの中身何だか予想付いてるみたいだね、ご両親でもない、
 誰か恋人が居たって訳でもないなら誰なんだろ?」

アイリーが呟きつつ、残る一カ所もやはり発掘が必要でウインストンが掘り進めつつ

「…多分写真はジョアンヌなのよ」

ルナが呟いた、

「あー…なんだそれ、あの婆さんの思い人がジョーンだってか?
 しかもあの素振りだとジョーンも薄々気付いてるぜ?」

ウインストンのつぶやきにジタンがそこで

「…まぁそうだとしても別に不思議はないな。
 ずっと未婚を通しているし、ジョアンヌの影響で教師になったんだから」

「ジョ…ジョアンヌってジョーンの事なのか?」

あ、そういや、ミュリエルには話してねー事だったなぁ

「ジョーンによると貴女には「見た目の歳ではない」とだけ言ったらしいわね
 そうよ、ジョーンはもう何百年も生きる場所と名前を変えながら細々とやってきたの
 …そこそこ人とも関わりを持ったようだけれど、今こんな風に能力から何から
 あけすけに何でも見せ合えるような仲になったのは…彼女の長い人生で
 これが初めての事なの」

ミュリエルは少なからずショックを受けたよーだ、まー、そりゃーそーだよな
ウインストンの発掘をリペアーで手伝いながらルナは続ける。

「惚れた腫れたじゃあないわ、多分、ジタンのお婆様にとって
 ジョアンヌが青春の象徴であって、ヒーローだって事なのよ
 ゴロワーズ家って中流くらいだったでしょ?」

「ああ、当然1930年代なんて特に女子には教育の機会は殆ど無い頃だな、せいぜい小学校
 金や実力があってやっと中学みたいな、しかもほぼそこで終わりって時代だ、大学なんて余程だ。
 現代ならそこから職業訓練に進んだり大学進んだり道は普通にあるけどな」

「そんな時代に、ジョーン…当時のジョアンヌは独学で私塾まで
 開くようになったのよ、しかも有色人種の外見を持ちながら、ね
 セーヌ川に設置された物なんかより遥かにお婆様にとっては
 ジョアンヌが自由の女神に見えた事でしょうね」

「…私も…イギリスに渡るまでは教育に恵まれた…とは言えなかったが…
 そうか…欧州でもそう言う時期があったのだな」

「ジョアンヌが独学で…特に物理を学んだのには理由があるわ、
 アインシュタインの特殊相対論・光量子仮説は1905年
 前期量子論の原型は1910年代、一般相対論1915年、
 その間にも色んな科学現象や新元素発見について模索が成されていた
 自分の能力が一体何なのかを知るために、必要だったの
 1932年に中性子や陽電子の発見、
 そして1938年、核分裂の理論をリーゼ・マイトナーが発表して
 彼女は「自分がやってはいけないこと」を具体的に知ることになるの」

「なるほど…彼女があの時期の科学にやたらと力が入ってるのはそういう事だったのか」

ミュリエルが深く納得した。

「ジョアンヌはそしてそれを教育の機会に恵まれない…特に女子に対して
 人類の積み重ねと模索の歴史を伝えたくて…ジョアンヌにとっては
 「それだけのこと」に過ぎなかったのよ、生徒達が後はそれぞれ
 将来にそれをどう役立てようと、持ち腐れにしようと、そこは
 運命に任せたって訳、きっと…ジタンのお婆様はかなり熱心な生徒だったんでしょうね
 それは…学ぶ喜びの他に…「こんな人になりたい」という憧れだったんだと思うわ」

「判る気がする」

ミュリエルが短く言った、

「オレもちょっと分かるんだ、ジョーンに惚れるなんて
 ありえねーけど、オレはあいつを尊敬してる、俺の成長を後押ししてくれたから
 オレは今「けっこー頼れる壁」になってるんだからな」

オレが言うとみんな頷いた。

「正直に言うが以前のケントの壁なら俺はぶち抜いてダメージをフィードバックしつつ
 お前本体をぶちのめすことが可能だと思っていたよ、でももう無理だな
 いかに壁を緊張させて「殴れる壁」にしてやるか…骨が折れるぜ」

ジタンが…これは「敵側」としていったんだろーがよぉー、おい、おっかねーなぁ…

「あたしも以前は頼りない置物のようなスタンドだった、
 殴るなんてほぼ不可能だった
 あたしが今最大斥候範囲500m、小粒な割りには人並みの力で
 殴る精神力を持てたのは…ジョーンが居たおかげだわ」

ルナも言った、まぁ、オレ達のなかで一番変化でかいのはルナだよな

「あー…熱弁すまねぇ、掘り出したぜ」

ウインストンがそれをオレ達に見せる

「スプーンだね…」

「なぜ真鍮製のスプーンなどわざわざこんな所に落としてしまったのだろうね…」

アイリーとポールが脱力して呟く

「とりあえず…退散しようぜ、アレで間違いなさそうだから
 あとはもうホテルでくつろぎながらだ」

いい汗かいたウインストンがスコップを地面に刺して汗を拭きながら言った

「けっこー似合ってんぜ、そーいうのもよぉー」

「おう、いいトレーニングになったぜ」

ま、そこからまた元の道…でも良かったが、折角なんで一周して戻った。



生きた心地のしないジョーンとの二人乗りのあと…発掘メインだったウインストンもそうだけど
全員それなりに動いたし、何しろ暑いしでまずは昼まで自由時間というか、リフレッシュ。
お昼を軽めに…今度はコースではなく単品を幾つか…って感じでね。

そして…昼過ぎにみんなもういいだけリラックスな格好であたしもふつーのカジュアルとかでね
とにかく全員集合だけはして…そして…ジョーンがなぜ、今ひとつこのペンダントにしても
その引き渡しにしても一歩引き気味なのかを…部分的な側面はジタンにも補足させ、語らせた。

個人的な見解はさっきも言ったけれど…本人にしか判らない「当時の空気」っていうのがあるからね。

そしてジョーンが語り出す…ここから先…読者諸氏には天の声に案内を頼むとするわ…



1933年パリ…
その日、この地域に見慣れない有色人種の女が現れた…のだが、身なりはそれなりにちゃんとしているし
何より同じような有色人種であるジョセフィン=ベーカーがレビュー(踊りなどのショー)で活躍し
歌手や、映画女優としてもフランスをメインの舞台として活躍していた真っ最中であったこともあり
差別は勿論あったが、それでも一芸に秀でていれば注目に値しうる事は証明してたので
立ち振る舞いが非常に上品であったジョアンヌも、その地区に於いては「それほど」奇異な目では見られなかった。

どうも、ドイツの学者の伝手の伝手の伝手くらいの結びつきらしいのだが、彼女は招待を受け
この地に来たようなのであった。
近所の特に子供は大賑わいであった、ジョセフィン=ベーカーの踊りのコスチュームは裸に近い物で
あったために、勿論そんな物を見せては貰えないわけだが、チラシやら新聞やら見れば概要はわかるわけで
この新参者をちょっとそう言う奇異な目で見ていたのである。

その家は研究者の家でもあり、なかなかゆっくり家に居る事も出来ないとので、詰まりハウスメーキング
としてこの家に招かれたようであった、しかし学術的な会話にもついて行けて、フランス語も完璧である。
その家の家族は即座に彼女を気に入り、屋根裏部屋ではあるが、彼女を居候させることにした。

とはいえ、彼女の引っ越しはまだ完全ではないらしく、この時期はまだドイツに行ったり
戻ったりといったことを繰り返していた、パリに戻るたびに彼女は大きな荷物を抱え
時にはタイプライターまで抱えてやってきていた。

そんなある日、また彼女がパリへ荷物を抱えて戻ってきた。
しかし抱えていた箱の底が抜け、大量の書類がこぼれ落ちてしまった。

「参ったわ…生命磁気への波紋ではもう製紙された紙を集めるのは難しいし…
 全うに拾い集めるしかないかしら…」

彼女はそうこぼし、誰かの手伝いがあることなどは全く考慮せず黙々と書類を集めては
風に飛ばないように他の荷物の下敷きにしておくという作業を繰り返した。

そんな時である、近所の子供達がやってきて

「何やってるの?」

と聞いてきた。
見れば判る状況ではあるのだが…彼女は嫌な顔一つせず

「箱の底が抜けてしまって、中身が落ちてしまったの」

と、答えた。
この後、それならばと逆に思い切り踏みつけられたり破られたり散らされたりと言ったことも
彼女は勿論考慮に入れていた、それならそれで構わないし、どうしようもない。
そして、確かにそんな風な悪戯心を起こした子供も居たようであったが、

「何してるの、拾ってあげなさいよ!」

一人の…まだ10才にも満たないであろう少女が仁王立ちで上腕を組んで
「悪ガキども」が「悪さをする前に」釘を刺した。
「彼女」は「優しい子も居るのだな」と思いつつ、黙々と拾い続けると
その少女も一緒に拾い出して言った

「…これ…何語?」

「ドイツ語よ」

「へぇ、読めるの?」

「それは勿論、わたしが書いたものだもの」

「ヴォーグさん所に来た人でしょ?
 研究とかやってるって人だから…貴女も?」

「いえ、まぁ…そう言う繋がりもあるけれど…ただのハウスメーキングよ…
 ただ勉強をするのはいいって言われたから、今引っ越しの最中なの」

「へ〜、凄いなぁ、わたしなんて字もあんまりよく判らないのに
 これ…何を勉強したものなの?」

少女が適当に手に取った紙をのぞき込みながら「彼女」は

「…そうね、なんて言ったらいいのかしらね…物を何処までも細かくしていって…
 「これ以上分けられない」という所まで細かくした物についてよ」

「難しそう」

「いきなりは無理よ…でも、もし貴女にその気があるのなら…余った時間に色々お教えするわよ」

そのやりとりを見つつ、「悪ガキども」は

「金が必要なんだろ、そーいうのはよー」

あ、少しこう言う事に興味があるのかな?と「彼女」は思い

「そう言うのには…ちゃんとした免許が必要なのよ、わたしにはそんな物はないから
 …でもそうね、全くのただだと色々悪いかも知れないから…クッキーの一個とか」

悪ガキどもも驚いた。

「そんなんでいいのかよ」

「ええ、でもわたしは学校で教わることのちょっとした手助け程度のことしか出来ないわ
 それでもいいのなら…」

悪ガキどもは顔を見合わせた。
少なくとも、社会的に地位の低いこの有色人種の女はそれなりに学問を修めて
人にある程度でも教えるほどにはなっているのだ。
フランス語は完璧だし、自分たちには読めないけどドイツ語も完璧なんだろう
この女は特別なのかも知れないが、それでも、自分たちも文字を満足に読み書きできて
ある程度色んな事を考えられるようにはなりたい、学はあって損はない、増して
その謝礼がクッキー一枚でいいと言うなら尚更だ

悪ガキどもも書類の拾い集めに参加しだした。

「それいつやるんだ?」

「さぁ、今話が出たばかりだから…大家さん…ヴォーグさんにも話だけは通さないと」

「あそこの親父がいいっていってくれたら、じゃあ、やってくれるんだな?」

「ええ、約束するわ」

「よし、絶対だからな!」

「彼女」は微笑んだ、なかなか…さい先がよいと。

書類集めも終わって、「少女」も「悪ガキども」も箱はもう使えないのでそれなりに
全員で抱えてヴォーグ氏の家にたどり着く、家人はその日は休日であり全員居た。
家族構成は父と母と、息子が一人である。
かなりのもやしっ子としてもっと小さい頃はいじめられもしていた。

「彼女」が近所の子供達と大挙してやってきたことにヴォーグ氏は面くらい

「あー…これは一体」

「いえ…荷物入れの箱が崩れてしまって…この子達に手伝って拾って貰ったら
 ここまで持ってきてくれたんです」

「悪ガキ」と言う印象はヴォーグ氏も持っていたが、なかなかどうして
この時代なら「掛け値無く」差別対象だろう有色人種の女性を助けるなど、なかなか見上げた
ものじゃあないかと思った。

「ヴォーグのおっさんよー、この女の人がさー、クッキー一枚で色々教えてくれる
 っつーんだけど、いーのかよー」

クッキー一枚?
まぁ、正式な教師ではないのだから当然給与や心付けを貰うような立場にすらない
と言うことは彼女もよく知っているだろうし、

「あー…それはウチを解放しろと…?
 確かにうちの子の家庭教師も兼ねてくれると嬉しいという話はしたが…」

「絶対に荒らさせませんから…お庭でも貸して頂いて…一日1時間でもいいんです
 彼らにチャンスを掴む「切っ掛け」だけでも…」

そう言われてしまうと、なかなか反対もしにくい、ヴォーグ氏はイギリス系アメリカ経由の
フランス人なので、教育の機会が出来る限り均等であるべきだとは常々思っていたのだ。

「いいだろう…、ただ、本当に庭は荒らしてくれるなよ?
 雨の日は…まぁ中での指導も許そう、ただしお前ら、ちゃんと学校も行けよ?
 ろくに勉強もしないでここでジョアンヌ君に踊って見せろたって
 彼女はジョセフィン=ベーカーじゃあないんだからな、勉強をするんだからな?」

それを聞くと悪ガキどもは

「おっしゃー!よし、じゃあ明日からな!」

と言って荷物を玄関に放り投げたらまぁまぁ、元気よく去っていった物だった。
やや苦笑の面持ちで見送るヴォーグ氏とジョアンヌ、そこに最初に手伝ってくれた
少女がまだ居た。

「だって、これ貴女の部屋まで持って行かないと」

少女はそう言った
なんと優しい子なのだろう、ジョーンは少し心が和んだ

「君は…ゴロワーズさんの所の子だね?」

ヴォーグ氏が聞くと

「はい、ジタンヌです」

「うん…彼女の部屋はかなり上に上がるから…もう、いいよ、そこに置いて行きなさい
 ジョアンヌ君、いいだろう?」

「ええ、有り難う、貴女が手伝ってくれなからったら、もうちょっと面倒なことに
 なっていたかもね」

「わたし、そういうの嫌なの」

ジョアンヌは時々居るこう言う差別意識が根本から存在しない子には矢張り今までの経験から
無条件で愛着が湧いてしまうのであった、ジョアンヌはジタンヌの頭を撫で

「お疲れ様、あとは、わたしがやるわ」

「じゃあ、明日…学校が終わったら来ればいい?」

「出来れば…あの子達にも言って上げて、教科書だけは持ってきてって
 今何を何処までやっているかは知らないとならないから」

「判った、じゃあ、また」

ジタンヌは丁重に持っていた書類をジョアンヌに手渡し、去っていった。
書類の一枚を手に取りヴォーグ氏が

「…早速去年発見された中性子の存在に添って色々考察を重ねてるようだね」

「その発見、待ち望んでいた物ですから」

「確かにね、電荷の数と粒子数がかみ合わない謎だったからね…
 増してβ崩壊の根拠が何処にあるのか…その理由だったわけだし」

正確には、中性子が崩壊するのには「弱い核力」という物が関わるのだが、
それが判明するにはまだ十数年の時を待たねばならなかった。

それにしても家人の了解も得たし、早速私塾が開けそうであることにジョアンヌは心を躍らせた。
ドイツで今も奮闘中であるリーゼ・マイトナーに心の中で報告をした。


第三幕 閉

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